
『君の名は。』に魅了され、そこから新海誠アニメ作品ファンになりました。
そんなファンには、スクリーン上に実写再現された柔らかでまばゆいシーンの数々と情感を生む音楽に、とても居心地よい時間を過ごせました作品です。
仕事に打ち込み彼女らしい存在もいるけど世の中との間に見えない壁を作っているような30歳の男性を、この人しかいないというくらい適役の松村北斗が演じます。
なぜ主人公が見えない壁を作っているのか、その原因を遡るストーリーを、高畑充希・森七菜・木竜麻生・宮﨑あおい・吉岡秀隆によるエピソードが紡いでいました。
発端であり物語のキーとなる小学生時代を演じた子役たちが見事過ぎるのも特筆ものです。
対照的に『ゴジラ-1.0』でも魅せてくれた吉岡秀隆の枯れ具合がいいアクセント。
そういった非常に狭く・個人的な世界を2時間描いているので、映画に驚きやカタルシスなど一般的なエンタメ性を求めて観る方には、薄っぺらく感じるかもしれません。
それでも、”男”と”女”の人生を歩む成長差をこれほど抒情的に描いた作品は無いと思います。
描き方は違いますが、中学生の男女入れ替わりを描いた大林監督『転校生』に通じるところををチラと思い出した『秒速5センチメートル』です。
2025年:東宝、監督:奥山由之、楽曲:山崎まさよし・米津玄師など、撮影:今村圭佑。


追記:新海アニメには『君の名は。』高山本線・特急ひだなど鉄道車両が多く登場します。