92歳で昨年この世を去った世界的ピアニスト:フジコ・ヘミングのドキュメンタリー映画が上映中です。

でもただのドキュメンタリーではありません。
彼女や弟妹へのインタビューから彼女がたどってきた道を当時の思いから浮かびかがらせることを縦糸に、4つのコンサートライブ映像をふんだんに横糸として織り込ませて、フジコ・ヘミングの全てをまるで宝のような一反の巻物に仕上げた作品でした。
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大好きな『月の光(ドビッシー)』『別れの曲(ショパン)』が流れただけで胸いっぱいなのに、フジコ・ヘミングの代名詞的な『ラ・カンパネラ』のフルバージョンは圧巻過ぎです。
ピアノの魔術師と呼ばれるリストのこの代表曲を弾く彼女の指が感情をこめてプログラミングされたかのように鍵盤を舞う姿。
『国宝』と同じように、通常私たちが観るピアニストの俯瞰に加えて、映画ならでは鍵盤画が加わり、究極の臨場感を生んでいます。
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映画として残された価値を実感した『フジコ・ヘミング 永遠の音色』でした。
そういえば名言も多々。中でもノーベル化学賞を受賞した北川進氏と同じ”準備”に言及した。ひたむきな取り組みがあってこそのお二人の偉業なんですね。

2025年:日活、監督:小松莊一良