黒澤監督の著名作リメイクを先週末に鑑賞しました。
良質な映画作品……いつもよりワンテンポ遅く映画眼内が明るくなった(ような気がした)、そんな静かな余韻に包まれた、まさにこの作品のためにある形容です。
-----
ノーベル賞に輝いたK.イシグロによるストーリーや主人公役ビル・ナイへの共感は多く語られていますが、私が特に惹かれたのは映画というフレームへのマッチです。
オープニングシーンと大ラス。たとえばマーヴィン・ルロイ監督を感じる、そんな心地良い懐かしさにひたりました(途中ウォータールー駅でてくるので余計^.^;;)。
-----
物語の展開で引き付けていくというより、演者の心情を丁寧に描くことで物語を作っていく……観る者すべてが(おそらく)知っている主人公の苦悩以外、ドラマチックなエピソードなくてもスクリーンに引き込んでいく……チャンネル変えられちゃうTVやネットドラマではなかなかできないと思うんです。
-----
そして、いくつかある作品の問いかけで一番共感したのは“本気”。長く仕事をして実感していますが、人を動かすのはその人の“本気”度なんだなぁ、とそんな大切なことも確認させてくれる『生きる LIVING』でした。
以上、元作を観ていないひとりの感想です。
2022年:英国/東宝、監督:オリバー・ハーマナス、撮影:ジェイミー・D・ラムジー、音楽:エミリー・レビネイズ=ファルーシュ、観た映画館:TOHOシネマズ上野