キハ58君の鉄道など ひとコマ

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映画『木の上の軍隊』 2025年:ハピネットファントム・スタジオ、監督:平一紘

沖縄初の巨大テーマパーク・ジャングリラでワイドショーやニュースもちきりな週末、同じ沖縄の過去・太平洋戦争沖縄戦をある視点で描いた映画が静かに公開されています。

『木の上の軍隊』

苦しくなるエピソード多いながらも鑑賞後に得られる開放感がたまらない井上ひさし舞台劇の映画化作品です。

 

太平洋戦争終盤の本土決戦を見据えての航空基地を作ろうとまで計画された沖縄の伊江島が舞台。

そんな目論見が泡と消えて米軍に攻め込まれた伊江島で、その後の終戦も知らず2年間も木の上で生き延び生活した将校と部下の物語です。

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「なぜ生き延びた場所が木の上なのか」

「どうやって生活したのか」

「木の上生活を終えきっかけは」

「木を降りた二人はどうなったのか」

孤独な二人の戦いに対し必然的に観るものに鑑賞中浮かんでくるこれらの考えに、作品は答えてくれます。あるときは目を背けたくなり、あるときはクスっとしたり、あるときはハラハラしたり。

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そのエピソード描き方は原作者・井上ひさしの創作名言通りなのです。

「難しいことを優しく、優しいことを深く、深いことを面白く、面白いことを真面目に、真面目なことを愉快に、愉快なことはあくまでも愉快に」

 

素晴らしいのはそれを体現してくれた将校役・堤真一と部下役・山田裕貴。上司と部下、それぞれの役割・視点を維持しながらの臨場感ある共同生活がすぐ手の届くところにありそでした。

ゴジラ-1.0でも活躍した山田裕貴は、終戦頃に生きていた人にしか見えなくなりました(笑)

もうひとつ立役者は”木”。

場面の大半を占めるガジュマルの木の造作が見事でした。自然ながらもキチンと生活の場としての存在感もある。

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そして2時間後におとずれるラストシーン。胸が詰まりました。でもああだったからこそ、今の日本があるのかもしれません。

たった2人の戦争で木の上という特異的なエピソードなれど、作品に込められた思いはほとんどの日本人に届くことでしょう。

 

美術:吉嶺直樹/装飾:大坂和美、

観た映画館:丸の内ピカデリー マリオンの老舗映画館でした。